肩こりを訴える方で問題となりやすい筋肉は幾つもありますが、特に筋肉が緊張して硬くなっていることが多いのが僧帽筋という筋肉です。僧帽筋は図のように後頭骨・鎖骨・肩甲骨・背骨に付く、とても大きな筋肉です。一つの大きな筋肉なのですが、上部繊維・中部繊維・下部繊維と筋繊維の走行が違い、機能的に分かれております。大まかに上部繊維は肩甲骨を上に持ち上げたり内転する動き、中部繊維は肩甲骨を寄せる動きに、下部繊維は肩甲骨を引き下げる働きをします。
僧帽筋は非常に大きな筋肉で、日常生活でも酷使傾向にあるので悪くなりやすい筋肉です。皆さんよく症状を訴えるポイントは肩上部、前縁部、肩甲骨の間です。その部分にトリガーポイントが見つかることが多いです。それと後頭骨に付着する部分も(この部の僧帽筋は薄くなっておりますが)痛みを訴える部分です。もちろん、肩こりはこの筋肉だけが悪くなるわけではなく、その下の筋肉もコリ・痛みを起こしますが、前述のように僧帽筋は非常に大きな筋肉なので、肩こりで来院された場合には、まず疑う筋肉の一つです。
上に書いたように、僧帽筋の上部繊維、前縁部、肩甲骨の間にトリガーポイントが形成され、肩こり・頭痛・首の痛みが起きますが、鍼灸治療だけで慢性的な肩こりが魔法のように消えて無くなるかといえば、残念ながらそうではありません。当院の鍼灸や手技施術を受けて頂くことで、もちろん楽にはなるのですが、肩こりというのは姿勢・運動不足・日常生活における体の使い方により症状が発生する要素が大きいです。
そのため当院の施術と平行して、御来院された際にお伝えするストレッチングや軽い運動を行っていただくと、より早く改善する傾向にあります。一緒にがんばりましょう!
鍼による肩こり施術の際に、僧帽筋にたいして鍼をすることは多いですが、施術に関して注意しなければならないポイントが肩上部です。この部分は直ぐ下に肺の先端部分があります。そのため皮膚に対して真っ直ぐ深く刺すと危険な部分でもあります。(肺の形は半円錐形をしており、その先端部分が鎖骨の上2〜3cmまで位置します。)
そのためこの部分を鍼灸治療をする場合、当院では安全の為、少々特殊な刺し方いたします。因みに鍼の太さにもよりますが、鍼は硬い組織に当たると真っ直ぐには進まず、曲がりますので、鍼灸学生や免許取りたての鍼灸師には鍼先のコントロール難しいところでもあります。いずれにせよ、当院では安全な刺鍼技術を習得してありますし、患者様の安全を何よりの最優先事項にしておりますので、どうぞご安心ください。