患者さんの鍼に対する感受性を鑑みながら施術するのは当然です。刺激に弱い方や、鍼に対する緊張感が強い方に、「ズシーン」と重く響くような鍼を何本もしてしまうと、痛みが取れないばかりか、肉体的・精神的にも疲れてしまったり、逆に筋緊張が強くなってしまうこともあります。
表参道エル治療院では、鍼に対して緊張されている方や刺激に弱い方は先ずは細く刺激の少ない鍼を使用し、また施術中は患者さんの反応を確認をしながら、 一本一本丁寧に行うので、この点は是非安心して頂けたらと思います。
上の段で「ズシーン」と重く響くような鍼と書きましたが、これは鍼治療の独特な感覚です。そのため鍼を受けたことのない方や、極低刺激の鍼しか受けたことのない方には中々わかりずらい感覚です。似たような感覚で例えるなら、指圧やマッサージを受けたときに、押されたところだけでなく、その周辺や体の奥に響くような感じを受けたことはないでしょうか?いわゆる、ツボに入ったような、そして痛いけど心地よい感じです。
鍼の響きもそれに近いものがあります。皮膚くらいまでの極浅い刺入深度の場合は、鍼の響きは殆ど起きないのですが、肩こりや腰痛・緊張性頭痛など、コリや痛みを起こす筋膜・筋実質を刺激すると、ズシーンと感じる鍼の響きが起こります。この響き感は慣れてくると気持ち良く感じるくらいで、これが無いと受けた気がしないと仰る方も多いです。
首こりや肩こり、腰痛、緊張性頭痛、臀部や手足の痛み、外傷後の痛みなど、原因となる疾患がある場合は別ですが、多くの場合は筋肉の酷使・ストレスなどで血流が悪くなり難くなっていたり、筋肉同士の癒着が起きていたりします。
硬くなっているところに鍼で刺激を加えると、響きが起きやすく感じます。特に筋膜や、筋肉と骨の接合部付近、靭帯にも響きを感じやすいポイントは多いです。
筋膜・筋実質を鍼で刺激すると、ズシーンと響くと先に書きましたが、体のどの部分にテキトーに刺しても響きが必ず得られるというわけでもなく、出やすい部分というのが他にもあります。いわゆるツボ(経穴)です。
(因みにWHO(世界保健機関)で認定されたツボ数は361あります。そして多くのツボが左右対称に位置しているのですが、対になっているツボは309、対になっていない単穴は52なので、(309×2)+52=670ものツボがWHOで決定されております)
670ものツボ全てに鍼をしてみたわけではないので断言は出来ないのですが、鍼施術でよく使われるメジャーなツボは響きが出やすいです。
ツボに鍼をすると響きが出やすいと書きましたが、これは特に痛みなどの症状がない、健康な状態の方に鍼をしてもみられる現象です。特に症状はないけれど、例えば足のどこかのツボに鍼をすれば多くの方にズシーンとした響きが出現するでしょう。
ではトリガーポイントに鍼を打たれたらどうなるのか?通常のツボに鍼をしたときとどう違うのか?ズシーンとした響きを感じるという点では同じですが、その方の感じている症状が再現される、またはそれに近いような感覚を受けます。簡単に言うと「あ〜、そこです!」、「まさにそこが痛いポイントです!」というような、症状が再現されたような感覚になることが多いです。